「コロキウム構造形態の解析と創生2020」形態創生コンテスト 最優秀作品
ハリセンボンは体を大きく膨らませ棘を立てることで緊急時に敵から身を守る。
この生物から着想を得て、「世界中どこでも手に入る材料」で、
「状況に合わせて簡単な施工で立ち上がる」「自由曲面」構造を考案した。
膜テンセグリティを折紙の発想で作る、全く新しい設計手法を提案する。
「膜テンセグリティ」は膜を引張要素として圧縮材を接続することで成立するテンセグリティの一種である。「平面の布から立ち上げる」という点で「平面の紙を折って作る」折紙と共通しているのではないかと考えた。そこで何種類かの折紙と膜テンセグリティを比較してみたところ、対応し、かつ構造として成立するものを見つけることに成功した。特に、Ron Resch PatternやOrigamized Meshといった折紙を応用した膜テンセグリティは今回新たに発見した。近年研究の進んでいる折紙のデザイン手法を適応することで、設計法の確立されていない膜テンセグリティに様々な自由曲面を適応できるようになった。
「ハリセンボンの棘と皮膚は膜テンセグリティではないか?」
この仮定から本構造は発展した。まずは観察を行った。
[注1]画像引用:「CT生物図鑑 | 株式会社JMC」 https://ctseibutsu.jp/ex/
porcupinefish.html#tab1.(使用許可済)
Design Process 1 : Remesh
設計したい自由曲面を作成した後、メッシュ化する。エッジの長さがバラバラであると、その後の計算がうまくいかなくなるため、Remeshingを行う。

Design Process 2 : Origamize
メッシュをFreeform Origami[注2] を用いて Origamize、つまり適切な「ひだ」を挿入して平面展開できる形とする。

Design Process 3 : Unroll
平面展開し、折り紙を膜テンセグリティに置換する。内側から見た谷折り線部分に、圧縮材をとりつけてゆく。

Design Process 4 : Analyse as Tensegrity
こうして出来上がったテンセグリティを Kangaroo2を用いて非線形解析を行い、成立するか確かめる。
[注2]Tomohiro Tachi, "Freeform Origami", www.tsg.ne.jp/TT/software/
正負の曲率、Ron Resch Patternや Origamizeしたメッシュなどの様々な曲面に適応可能である。
縮尺1:30の模型を用いた検討を行った。
本作品を通して考えたことを論考に記した。
また、ファッションへの応用も行っている。
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