COIL Upcycle Art Contest 2022 入選
共同制作者:nodom(飯島大地)
アートユニット「シモ×dom」による作品。
本ユニットは、折り紙から展開する建築家の下田と、空き缶から展開する再生家のnodomにより、素材を見つめ、解剖することを目的に結成しました。
今回はその第一弾として空き缶で作られた老若男女10体のヌードの制作を行いました。​​​​​​​​​​​​​​
アルミ缶は中身が入っている時は缶ビール、缶ジュースなどと呼ばれますが、飲み干すと“空き缶”になります。
では美味しいお酒やジュースを包んでくれていた空き缶は用済みなのでしょうか?
否、私たちはこれを廃棄物とは考えず、むしろ空気や空間を包んでいる「器」としてポジティブにとらえました。
「器」があるおかげで私たちは内容物が分かり、感じる事ができます。
肉体があるおかげで人を認識し向き合えるのと同じです。
器がなければ飲み物も魂も形を持ちません。
お酒やジュースを楽しむと私たちの体は飲み物で満たされ缶は空になりますが、そこには味・印象・記憶等が魂の様に在るのを感じました。
そんな空き缶を捨てられるはずもなく、nodomの家には数百個の空き缶が保管してあります。

同じお酒やジュースの缶でも、飲む日によって印象が変わることもあります。
まるで老若男女様々な肉体があるように、缶に対して感じるイメージも様々です。
そのイメージを器として形にしたいという想いから、これまで自分たちが飲んで捨てずにとっておいた空き缶を用いて、ヌードの制作を行いました。
制作のプロセスにおいては、アルミ缶に切り込みを入れる・折るというシンプルな操作のみ行ないました。
あくまで缶のイメージを具現化することを目的とするため、バラバラに切り離すことなく1繋がりに繋げたまま、缶そのものの形を利用しつつ造形しています。
アルミ缶は非常に薄い0.1mm厚のアルミで作られているため、ハサミやカッターでも切断でき、手でも簡単に折り曲げられます。金属の特性のおかげで、紙や布ではすぐに型崩れしてしまうような曲線状の形状もキープできます。
また、パッケージのデザインも、ヌードの造形がより魅力的に見えるよう活かして構成しました。
この制作法にたどり着くまで、ありとあらゆる切り方、折り方を試しました。
nodomによるドローイングから人体らしさのポイントを抽出し、下田の折り紙の技術を用いてそれを立体化する、ということを何度も何度も繰り返す中で、最終的な造形に至りました。
表面の造形だけで、内部の骨格や肉付きを表現することを目指しました。

空き缶という文字に含まれる「空」のように、素材の可能性が広がっていくことを願いながらモノと向き合いました。
まずは身の回りのものと大切に向き合うことこそが、環境問題の解決に繋がる第一歩では無いでしょうか。
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